【単体考察記事】HDチョッキカミツルギ【WCS2017】

どうもご無沙汰しています。7世代になって初の記事です。

ROMの方はバンクが解禁されるまで育成を始める気が沸かず、一か月くらい放置しています。

早く6Vメタモンを使わせてください(切実)

 

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で、今回の記事のテーマはこのポケモン、カミツルギ。

サン限定の準伝説枠のポケモンで、1ROMにつき4匹まで入手することができます。

巷でこのポケモンの評価を見ると「こんなにたくさん要らねぇ」とか「GTSに流した」などと手に余らせているトレーナーが多い様子。

一方でその入手のし易さからボックスを全てカミツルギで埋めてみた人がいるなんて話も。

こんな具合に複数の型が育成されることもなくとにかく大安売りされているこのカミツルギというポケモン

しかしもうちょっと考察の余地があるんじゃないの?て思ったので記事にすることにしました。

 

 

 

【カミツルギというポケモンについて】

このポケモンについてはつべこべ言う前にまずは種族値を見た方が手っ取り早いです。

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ
59 181 131 59 31 109

 最初この数値を見た感想は「これ本当にポケモン種族値か?(困惑)」でした。

 

まずは目を引く攻撃種族値181という数値。これは全ポケモンメガミュウツーXとメガヘラクロスに次いで第三位の高さ。メガでも禁止級でもないポケモンの中では堂々の第一位。

これに加えてカミツルギのタイプは草/鋼というタイプで、どちらもWCS環境下において抜群を取れる相手が多く非常に優秀。メジャーどころで言えば今回の大会で鍵を握るといっても過言ではないカプシリーズのうちコケコを除く3匹にタイプ一致で抜群を取れる他、ウツロイドやトリトドンギガイアス等のポケモンの弱点を突くことが可能です。

更にカミツルギの特性はビーストブーストという新特性で、相手を攻撃技で倒すと自分の持つ能力の中で一番数値の高い能力のランクが1上がるという効果。カミツルギの場合は攻撃の能力が上がりやすく、もし能力が上がれば元の数値も相まって手の付けられない攻撃力を手に入れられます。

防御の値も攻撃ほど極端ではないにせよそれなりに高め。HPが低い関係上見た目ほど硬いわけではないですが弱点を突かれない限りは大抵の攻撃を耐えてくれます。カミツルギの草/鋼というタイプは数ある複合タイプの中でもトップクラスに優秀な耐性を有しているのでこの高い防御を生かせる場面も多いでしょう。

素早さも今回のWCSルールでトップメタの一角を占めるガブリアスコケコを除くカプシリーズよりも速い109とこれまた優秀。数の多いキュウコンと同速である点が文句の付けどころですが、今回のルールは素早さの低いポケモンが非常に多いのでこれだけの数値があれば最速にすることでほとんどの相手に先手を取ることができます。

 

しかしこれらの長所の一方、悪い意味で目を引く特防の31という数値。これと近い数字のポケモンを探すとオニスズメとかイシツブテとかが出てきます。HPも59と準伝説枠としては低水準。その為、特殊技をまともに食らってしまうと即座にお陀仏に。参考までに無振りカミツルギに対するダメージ計算を貼ると、

 

・耐久ライン134-51

無補正C252振りカプ・コケコの珠10万ボルト(フィールド下) 106.7%~126%(確定一発)

補正有C252振りカプ・テテフのサイコキネシス(フィールド下) 110.4%~130.5%(確定一発)

 無補正C252振りキュウコンのふぶき(ダブルダメージ補正) 90.2%~107.4%(乱数一発 43.8%)

 

この有様。上二つは元の火力が高いとはいえ半減にも関わらず即死。しかもテテフに至っては持ち物なし。

特にキュウコンは同速でこのダメージを被弾してしまうのが痛い。特にこのポケモンが場に出ているときは霰が降っている場合がほとんどなので、こちらがタスキや乱数の幅で耐えたとしても後のスリップダメージで落とされてしまいます。タイプの関係で一見有利に見えますが向こうがタスキを持っていた場合等を考慮するとむしろ不利対面とすら言えます。相手の特攻種族値81しかないんだぞ・・・

 

また圧倒的な攻撃力を有しているもののイコール火力が高いとならないのもこのポケモンの難しいところ。タイプ一致の技で最も攻撃力が高い技がリーフブレードの90、サブウェポンの鋼技も最高火力がスマートホーンの70止まりと力不足気味。そのため特性による火力補正がなければ弱点を突かない限り相手を一撃で倒すことは困難です。鉢巻を持とうにもタイプ一致の草技と鋼技は環境に刺さっているとはいえいずれも一貫性が芳しくないので必ずしも相性が良いとは言えません。

 

【HDチョッキ型にする意味】

これまでの話からカミツルギの長所と短所を簡潔に纏めるとこのような形になると思います。

 

長所

・圧倒的な攻撃種族値

草/鋼タイプによる優秀な耐性

・環境にマッチしたタイプ一致技

・「最速にすることで」多くのポケモンの上を取ることが出来る素早さ

 

短所

・攻撃の一貫性や技の威力があまり高くない為に相手を一撃で倒しづらい

優秀な耐性を全て台無しにしてしまう程の特防の低さ

・先手を取れないと厳しいにも関わらずカミツルギより素早いポケモンが一定数いる

 

運用していく際はとにかく短所の「特防の低さ」をどう補うかが重要となります。この特殊技の脅威に立ち向かう手段として手っ取り早く思いつくのが

 

・タスキで無理やり耐える

・珠や鉢巻等を持って特殊アタッカーに殴られる前に上から殴って倒す

 

この二つ。後者を達成する為には陽気最速にする必要があるのは勿論、前者を達成にするにしても最速にすることで多くのポケモンの上を取れる以上陽気最速を捨てるメリットが薄い。となると陽気最速以外育てる必要がないわけで、その結果として冒頭にあるようにカミツルギこんなに要らないよなんて言われる事態を招いているわけです。

 

で、ここからがこの記事の本題

このカミツルギというポケモンの特殊耐久は目眩がするほどの低さ。現在使われているタスキ型も珠・鉢巻型も最早この特殊耐久をどうこうすることは諦めた形といえます。

では耐久振りでこの特殊耐久を補うことは出来ないのか?

 

 まず改めて特殊耐久の個体値を見てみると、HPが59、特防が31。実数値に直すとHP134、特防51。目眩がしそうな数値ですが、ここで特防に努力値を252振ると耐久ラインは134-83に。実はこの時点で耐久の数値は1.6倍になっていて最小限の攻撃は耐えられるようになります。先ほどと同様のダメージ計算を出すと、

 

・耐久ライン134-83

無補正C252振りカプ・コケコの珠10万ボルト(フィールド下) 64.9%~76.8%(確定二発)

補正有C252振りカプ・テテフのサイコキネシス(フィールド下) 68.6%~80.5%(確定二発)

 無補正C252振りキュウコンのふぶき(ダブルダメージ補正) 55.9%~65.6%(確定二発)

 

先ほどの計算と比べると見違えるレベルで耐えられるようになりました。と言ってもまだ受け出しが出来る程までには至っていません。そこで特防を上げるとつげきチョッキというアイテムを装備してみると

 

・耐久ライン134-124(チョッキ込み)

無補正C252振りカプ・コケコの珠10万ボルト(フィールド下) 43.2%~52.2%乱数二発 13.7%

補正有C252振りカプ・テテフのサイコキネシス(フィールド下) 45.5%~53.7%乱数二発 50%

 無補正C252振りキュウコンのふぶき(ダブルダメージ補正) 38%~44.7%(確定三発)

 

なんかものすごくむず痒い気分になる計算結果になりました。しかしこれ程までダメージ量を抑えることが出来ればとりあえず十分な耐久があると言えるでしょう。現に(恐らく)この調整でロンドン大会において好成績を残した選手がいます。大会後この持ち物が話題になってましたがこういう理由があるわけですね。

ですがこのむず痒さはなんとかしたい物。ここで勇気を振り絞って素早さに回す分をHPにがっつり振ってみましょう。HPに252振ると偶数になって個人的に嫌いなので244振ってみると、

 

・耐久ライン165-124(チョッキ込み)

無補正C252振りカプ・コケコの珠10万ボルト(フィールド下) 34.9%~42.1%(確定三発

補正有C252振りカプ・テテフのサイコキネシス(フィールド下) 36.7%~43.3%(確定三発

 無補正C252振りキュウコンのふぶき(ダブルダメージ補正) 30.7%~36.1%(乱数三発 41%)

 

確定で上二つの攻撃を二耐えできるようになりました。テテフに対しては攻撃を受けた上で確実に狩れるようになったという意味で大きな変化であると言えます。またコケコに対しては、それまで一方的に狩られるだけだったのが対面から殴り勝てるようになりました。同時に辻斬りを入れればコケコライチュウというメジャーな並びに対しても強く出ることが出来ます。

素早さを削るのはどうなの?という意見もあるでしょうが、テテフやガブリアスなどのポケモンはスカーフを持っている事も多く素早さ種族値での優位は無駄になりがちです。ですので素早さを削ることによるデメリットはさほど大きくないと考えています。一方でウツロイドやウインディを抜くことが出来なくなったり、同族との勝負で勝てなくなったりする等の欠点もあるのでそこは構築と相談すべきと思います。

 

最終的にこの変化が何を意味するのかというと、カミツルギをテテフに勝てる草枠として、コケコに勝てる鋼枠として採用できるようになったということになります。これまでタイプを活かした受けをすることが不可能だったので、大きな役割の変化と言えます。火力の高いこの二匹に対してもここまでダメージを抑えることが出来ることから、他の半減や低火力特殊に繰り出せば更に活躍できると思います。

アローラダブルで採用できる鋼枠のポケモンはかなり限られているので、こういう調整をして採用できる選択肢を増やしていくのも良いんじゃないでしょうか。